電気屋さんに聞く エアコンてなんで冷たい空気が出るんですか?【第1回】

ユニオンさん

記録的な猛暑により、毎日暑い!

屋外、屋内問わずじっとしているだけでも汗がにじんできますね。

そんな中、報道などでもエアコンの適切な使用について叫ばれるようになりました。

そこで疑問なんですが、そもそもエアコンて、どうやって冷たい風を出しているんですか?

聞いてみましょう、十字町商店会の電気屋さん、ユニオンデンキさんに。


ユニオンさん

━━ユニオンさん、ちょっと質問なんですが、エアコンてどうやって冷たい空気を出しているんですか?

ユニオンさん すご〜く簡単に説明すると、空気に対して“気化”という現象を使い熱を奪って、冷やしたものを排出しています。

━━なるほど。分かったふりをしてしまったんですが、実際分かっていません。

ユニオンさん うん、ちゃんと説明しますね。エアコンには、部屋の中で冷風や温風を出す「室内機」と、屋外に取り付ける「室外機」という2種類の機器があります。

室内機室内機

室外機室外機

それを、配管でつなげて使用します。

━━この前引っ越したばかりなので、その3つは知っていました!

ユニオンさん それで、配管を通して室外機と室内機をね「冷媒」というものがいったりきたりしています。

手順を教えると…

1.スイッチを入れると室外機のコンプレッサが起動。冷媒を圧縮して液体にする

2.圧縮した冷媒を室内機に送り出す

3.室内機で液体となった冷媒を気化させる

4.気化したことで部屋の空気から熱を奪って冷やし、冷えた空気を室内機のファンで部屋の中に送り出す

5.気化してあたたまった冷媒を室外機に送る

6.扇風機のようなファンで冷媒の通る箇所に空気をあてて冷やす

7.室外機内で再度圧縮して液体にする

1にもどって繰り返す



という手順を踏んでいます。

━━結構複雑な手順を踏んでいるんですね。生まれたときくらいからエアコンを使っていて、初めて知りました。

ユニオンさん 意外とね。すごく身近だけど、構造を知らないものの代表格かもしれないね。

冒頭に説明した“気化”とは冷媒への現象を指していたんです。

だから、どうやって冷やしているかと説明するならば、冷媒を気化させることで冷やしている、ということになります。

効率的に冷えた空気を作る方法

ユニオンさん2

━━しかしこれだけ暑いと室外機が冷媒の熱を逃がしきれるのかなと心配になります。

ユニオンさん まさに心配の通り。あまりに熱くなると冷えが悪くなるよ。

━━げ、やっぱりそうなんですか。なにか方法はあるんですかね。

ユニオンさん 単純な話で、室外機に空気を一杯吸わせてあげれば大丈夫。

室外機の背面にはフィンがついているんです。そこから空気を取り込んで、熱交換器を冷却(空冷)しているので、背面に空気を吸うための十分なスペースがないと冷えが悪くなるんですね。

そのため、室外機の周りに段ボールなどのゴミを置いていたり、何かものが置いてあったりすると空気を十分に吸えない、もしくは排出したあたたかい空気を再度吸いこむなどして冷えが弱くなってしまうという場合もあります。

ほかにもときどきあるのは、犬を飼っているご家庭で、犬の毛がつまっていること。よくあるので、一度確認してみるといいよ。

━━帰ったら早速確認します!

ユニオンさん あとは、室外機に直射日光が当たっているようなら、それこそ段ボールなどでいいから、室外機の上部にのせてあげて直射日光を防ぐと、効きがよくなるときもある。これは、室外機が空気を吸いこむのを邪魔しない程度の大きさにすることが大事。

━━難しくない方法ばかりで助かります…。

ユニオンさん 室内機もね。あれは室外の空気を冷やしているのではなく室内の空気を吸いこんで冷やしているので、空気の取り込み部分にあるフィルター掃除をしてあげると効きがよくなる場合もあるよ。

━━室内機と室外機の周囲の空気循環を良くする、というのが大切なんですね。あと、ときどきサーキュレーターを使用している会社さんなどもみかけます。

ユニオンさん それも効果があるよ。冷気は下に、暖気は上にいくんだよね。つまり室内機から出てくる冷えた空気は床の方にたまる。だからサーキュレーターのような背の低い機器で室内の空気を下からかき回してあげると全体が冷えるんだ。

あとは、エアコンの風向きも下向きにするよりかは、上向きにしてあげるといいかもね。どのみち冷気は下にいってしまうから。

━━だからサーキュレーターって小ぶりなものが多いんですね。扇風機でいいじゃん、と思っていたんですが、扇風機よりも低い設計は効率的な構造になっていたんだ。

ユニオンさん その通りです。ちゃんと原理を知って使用することも大事だね。

エアコンの選び方を教えてもらう

━━あと、ちょっと聞いてみたかったのが、エアコンの選び方なんです。電気屋さんでカタログもらったりするんですが、店頭もカタログも種類が多すぎてどれを選べばいいのか…。大型の家電量販店だと、話を聞いている間になんか騙されているんじゃないかなんて気分に…。

ユニオンさん だますことはないと思うけど…(笑)。まず大切なのは畳数です。

━━畳数というと、部屋の大きさですか。

ユニオンさん 最初に知っていてほしいのは、エアコンのパワーというか、稼働率というか。普通の家電であれば、100%の力がMAXの出力だと思います。

エアコンの場合は、ほとんどの場合MAXが120%なんです。畳数の表示は、購入したエアコンのパワーで、どのくらいの広さの部屋を冷やす、もしくはあたためることができるかが示されています。そうすると、8畳分のエアコンを購入して16畳の部屋を冷やすとなると…。

━━ずっと120%の力ですね!

ユニオンさん そう。だから、まずは自分の部屋の畳数を確認することです。ちょっと広くても大丈夫、と思うと機器の寿命が早まってしまいます。あと基本的なところで気になるのは、消費電力ですかね。

━━気になります! 省エネ、と言いますが、だいたいほとんど省エネと表記されているので、なにが違うのか…。

ユニオンさん 知識がないと見方は分からないかもしれません。エアコン選びで大切なのは、イニシャルコストランニングコストの比較です。

第2回はこちから

電気屋さんに聞く エアコンてなんで冷たい空気が出るんですか?【第2回】

2018年8月22日

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編集者、ライターの のじさとしです。ラーメンを食べると胃にくる30代。新聞社→出版系の編集プロダクション→自転車屋さんとライター編集業の兼業、と順調に一般社会人のレールを外れています。商店会では撮影、ライティングなどを担当しています。